枚方市杉山手の小高い丘の上の、緑に囲まれた平屋建てが息を吹き返そうとしています。このコラムではこの物件の魅力と、リノベーションされるまでの一部始終を集中連載で紹介します。
BEFORE:丘の上から町を俯瞰するように建つ軽量鉄骨造の平屋建て。長らく空き家でしたが、その魅力は色褪せていませんでした。 沢山の窓から“いい気”が家に流れ込むような
一目見た時に感じました。
この建物は何か“幸せの予感”というような、そこに居る人が思わず笑顔になってしまう、そういう不思議な気配がすると。
……と言いますか、周囲を見渡してみると一目瞭然。
家主が把握しているものだけでも、梅、竹、柿、山桜、ザクロ、金木犀、ナンテン、アズレア、フヨウ、ヤブラン、花しょうぶ、キョウチクトウ、メキシカンセージ、ツツジ、ギボウシ、水仙、ユリ、サザンカ、バラン、ヤツデ、ワラビ、つくし、ミツバ、ミント、それにミョウガなんかも。
これはもう“庭付き物件”とかそんなレベルではありません。
緑に埋もれるように建つその姿はどこか愛嬌があり、ホッとします。 元々自生するものから家主が植えたものまで、四方をこれだけの草木に囲まれていて、まるで家が自然に包み込まれているような具合です。
ウグイスのさえずりが聞こえ、ミツバチやチョウ、カタツムリなんかが当たり前にこの丘を住みかにしている。
この家に住めば長く都会に住んで忘れてしまった感覚を取り戻すことができると思います。
この家に“幸せの予感”を運ぶのは色とりどりの草木と虫や鳥。 平屋建てという贅沢
この建物は1969年に積水ハウスによって建てられた軽量鉄骨造の平屋建てです。いわゆるプレハブ住宅で、建材の軽減や工期短縮といった建築の合理化を目指しその後日本中に広まっていきますが当時はまだ珍しかったようです。
現在の家主が結婚を機に、実家の裏手にあって元は畑だったこの丘の上に建築しました。実家も茅葺の平屋建てで、自分たちの新居もできればゆったりとした平屋建てにしたかったそうです。
そして今、平屋建てを“フラットハウス”と呼び、各地の平屋建てを題材にした書籍がひそかな人気を呼ぶ等、若者を中心に平屋建ての価値が見直されつつあります。
集合住宅ならではの上下階との騒音トラブル等が無く、ペットOK、庭や畑があったり、駐車場も付いていることが多い……と、平屋建てならではの魅力はたくさんあります(もちろん、この物件にも備わっている魅力です)
左:玄関までアプローチが続くのも平屋建ての魅力。“家に住んでいる実感”が得られます。 右:マイカーが2台停められます。 それでも多くの平屋建てはマンション等に建て替えられてきたようです。
現代の限られた都会のスペースでは建蔽率、容積率いっぱいに建て、少しでも多く床面積を、部屋数をつくることが重要とされてきたからです。
そういう意味で、この家のようにほとんど建築された当時のまま現存し、リノベーションによって再生できることは奇跡的なことかもしれません。
(左)キュートなキッチンはまだまだ頑張れそう。(中央)リズミカルな和天井が特徴的な和室。(右)内装工事は必須 ここまではこの家の周辺環境と平屋建ての魅力をお伝えしました。
次回のコラムではこの家自体の魅力、リノベーションのコンセプト、そして気になる賃貸条件をお伝えします。読めばきっと「この家に住みたい!」と思いますよ。