空と同居する城

思わず、明るくて気持ちのいい日だな、と思いました。
しかしこの日は、本当はあまり天気が良くなかったのです。
写真の空をよく見ると曇っています。
ぐるっとL字型に住居を包むバルコニーが、そんなことにはお構いなしに、明るい光を部屋へ運んできてくれます。

L字バルコニーは角部屋の特権ですが、この部屋のバルコニーは幅が狭く、ここに出るとふと、犬山城の回り縁が思い出されました。
城の天守をぐるりと回る縁側を「回り縁」と言うのですが、回り縁には装飾の意味合いが強く、実際に外に出られるもので現存のものは、愛知県が犬山城と高知城のみ。
この家がまさしく城に思えてきました。

「幅が狭い」という言葉はマイナスイメージかもしれませんが、その分部屋と空の距離が近くなっているわけです。つまり、バルコニーが廻っていない限り掃き出し窓は設けられないので、このバルコニーは光を最大限取り入れる掃き出し窓を各部屋に作るための最小限の緩衝地帯なわけです。緩衝地帯が小さいほど、部屋と空とは近づいていきます。

2面採光で明るいリビングですが、だだっ広いのではなく雁行型なので、緩やかに空間が区切られていて家具の配置もしやすいです。
その真ん中にはWICがあり、家族のモノを綺麗に収納することができます。

洗面がダブルボウルになっていて朝夜の渋滞が避けられるとか、
キッチンの壁紙が調湿効果がある落ち着いたグレーであるとか、
リビングの一角にピクチャーレールが備えられているとか、
細やかな配慮が地味に嬉しい、シンプルな中に遊び心も感じられる住まいです。

※新耐震基準
※ペット可（小型犬）
※湊駅〜南海なんば駅：乗り換えあり約15分、乗り換えなし約25分