2015.6.9 |
real local 仕事帰りに、天満で落語はどうですか?小倉千明 天満天神繁昌亭 その長さが2.6kmもあるという、日本一長い商店街「天神橋筋商店街」を、天神橋筋1丁目から6丁目に向かってまっすぐ歩いていくと、途中で頭上に見えてくる赤い大きな提灯。勢いのある筆書体で”大阪天満宮 参詣道”と書かれてあり、その下に「繁昌亭」と看板がぶら下がっている。 繁昌亭が出来るまでのいきさつは、少しドラマチック。話は2003年にさかのぼる。桂文枝(元 桂三枝)さんが上方落語協会の会長になった時分まで、60年以上も定席がない時代が続いていた。上方落語は、京都・大阪を中心とする地域で主に演じられてきた落語のルーツであり、江戸時代から繋がっている約300年の伝統芸能。協会には落語家が250人以上もいるのに、専用小屋がないというのは一大事。そこで、白羽の矢が立ったのが、天神橋筋商店街だったそう。 「空き店舗を利用して、落語で商店街を活性化出来ないか」と天神橋筋商店連合会の理事長に呼びかけていたところ、「それならば是非に」と手を上げてくれたのが、大阪天満宮の宮司さんだった。駐車場だった境内の一角を、なんと無償で提供してくれたという。もともと江戸時代の天満宮境内では、歌舞伎や人形浄瑠璃などあらゆる芸能が上演されていたという記録もあり、明治時代の天満周辺には「天満八軒」といって8軒程の寄席があった。”芸どころ”として、歴史的にもゆかりのある土地だった。 「寄席の醍醐味は、身体に染み込むほど知り尽くしています」。そういって話をしてくださったのは、2006年にオープンしてから、繁昌亭を支え続けている恩田支配人。東京に住んでいた大学時代から根っからの落語好きで、時間があれば江戸落語の寄席に出入りし、通い詰めていたそう。卒業論文も落語について書いたという、筋金入りだ。 「寄席には昼席と夜席があり、それぞれの楽しみ方があります。まず、昼席の見どころは、ライブ感です。出演する8名の噺家の名前は公開しますが、何を話すのかネタは非公開です。噺家は、舞台の座布団の上に座って、お客の顔を見てから噺のネタを決めるんですよ。夜席は、趣向を凝らした企画を楽しめるところ。噺家がメインで出演する『独演会』や『二人会』、メインとなる師匠とその一門が出演する『一門会』などです。好きな噺家を目掛けて訪れるのはありですね。現在、繁昌亭に流通している噺は、約100種類程あります。噺を覚えてくると、聞きたいネタが出てきたり、噺家の出演順を見て話すネタを想像してみる、というように寄席の楽しみ方も増えますよ」 「繁昌亭が出来て喜ばしいのは、落語をきちんと楽しめる環境ができたこと。大阪観光の途中に寄ってくれる観光客や地元のお客さんなど訪れてくださっています。中・高生向けに落語の体験学習や、団塊世代向けの落語家入門講座も人気ですね。老若男女楽しめるのが落語のいいところ。繁昌亭は、年中無休です。いつでもどうぞ」 天満天神繁昌亭/天満 |
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